沖縄の、ある夏の朝のことでした。家族でお祈りをちょうどすませたところで、お父さんとお母さんがアブドル・バハの写真を子どもたちに見せました。それは、パリ、ロンドン、アメリカ、イスラエルなどの子どもたちとアブドル・バハが一緒に写ったものでした。その中でも子どもたちが特に好きな写真がありました。それは、アブドル・バハがアッカの貧しい子どもたちにお菓子をあげた後、歩いて立ち去られる後ろ姿の写真でした。
「アブドル・バハが沖縄に来られるといいね!」と幼いアニサが願いながら言いました。
するとリアズが、「そんなことありえないよ!」と言って、「100年前の写真だぞ!アブドル・バハが今でも生きているわけないだろ!」と叫びました。
「アブドル・バハは世界を旅されたんでしょ、沖縄に来られたのかな?」とシャラが聞きました。
子どもたちがお父さん、お母さんの方を見ました。
「ないわ。」とお母さんが答えて、「でも、アブドル・バハは日本が大好きだったのよ。たくさんの人への書簡にもそう書かれてるわ。日本に行きたいとよくおっしゃっていたのよ。日本の偉い人にも会われているのよ。何人ものバハイに自分の代わりに日本に行くようすすめられたの。でも、ご自身は来られることができなかった。」
「そう、アブドル・バハはいろいろな人に日本に行って、日本に住んで、バハオラのことや教えを伝えるように望まれたんだ。」とお父さんが説明して、「アブドル・バハは、1908年、アメリカのバハイに日本に行くように言われた。そして、1910年に日本を訪れたバハイたちに『神の愛によって人々に生命力を与えることは非常に良いことである』と言われたんだ。
「人々に生命力を与えるって、どういう意味かな。みんな生きているじゃないか!」とリアズが叫びました。
「精神的に生きる力のことよ。わかってないね!」とモナが答えました。
「そうだよ!生きている段階があるだろ。」とアスマが思案ありげに言いました。「動物は体が命じるまま生きていて、精神的ではない。おれたち人間は精神的に生きることが出来るだろ、天使とかアブドル・バハのようにはできないけど。その意味かな。」
お父さんとお母さんはお互いにうなずいて賛成しました。「そうね、その意味でしょう。」お母さんが言って、「神の顕示者が現れるたびに文明が進むの。アブドル・バハはバハイの一人に彼の日本人の友人に次のように伝えなさいと書かれました。『自然の世界は暗黒であるが、天の太陽はその光で、この世界にはびこる暗黒を消滅させる。同様に、心と魂の世界は暗黒であり、真理の太陽の光の他にはそれを照らすものはない。』」
「その意味はバハオラを太陽にたとえているんだろ。お母さん!」とリアズが言いました。
「もちろん!」とお母さんが賛成しました。
「日本の国の旗は太陽になっているもんね!日本の人はアブドル・バハがこのように言われているのを知って、この旗をつくったのかな。」とシャラが聞きました。
「そうではないと思うけど、偶然だったのね。」とお母さんが答えました。
お父さんがつけ加えて言いました。「アブドル・バハが日本に住んでいるバハイの一人に手紙を出されて、東京の中心で聖なる旗を空高く掲げて、次のことを大声で叫ぶように言われたんだ。『おお汝ら、人々よ、真実の太陽が現れ、その輝かしい光があらゆる地域を満たした。それは、人間世界の統合の旗を掲げ、全人類を輝ける真理に召喚した。』とね。」
「すごい!」子どもたちが大声をあげました。「その男の人は本当にそのようにしたのかな。」とシャラが聞きました。
「わからんなあ。」とお父さんがニヤッとして、「多分しなかったかも、日本では今でもバハオラのことを知っている人はまだ、まだ、少ないからね。」
すると、アニサが跳びながら叫びました、「私がするよ。沖縄から始めるよ!」みんな笑って、手を叩いて応援しました。
お母さんが、「モナがアニサよりまだ小さいころ、私たちは広島の田舎に住んでいたの。外で遊んで帰って来た幼いモナが、『はーい!モナは近所の家の全部に、バハイになって、お酒を飲むのもチョコレートを食べるのもやめるように言って来たよ!』と言ったのよ。」
「モナー!」子どもたちが驚いて叫びました。
モナが、「そんなこと、ぜんぜん覚えてない! 」 と言うと、
アスマが、「チョコレートのどこが悪い?」と不思議そうに言いました。
お母さんが笑って言いました、「モナが小さいとき、体によくないと言って、甘いものはあげなかったの。それから、大人にはお酒はよくないと言っていたの。だから、モナがバハイは、お酒も、チョコレートもダメと思っていたのね。私は近所の家全部に行って説明して謝りました。」
モナが、「そうね、バハオラとアブドル・バハのことを人に話すのは恥ずかしいことではないけど、節度を守らなくちゃね」と恥ずかしそうに言いました。
お父さんがつけ加えて、「アブドル・バハは『日本は燎原の火のように燃えたつであろう。日本は神の大業を広げるのに最も驚くべき能力に恵まれている。』と言われたそうなんだ。」
「燎原の火とは日本が火事になるということ?」シャラが驚いて言いました。
「本当の火事ではない!分かってないなあ! 」とアスマが言って、「精神的に燃え立つという意味だよね。お母さん。」
「そうよ。アブドル・バハがカリフォルニアに行かれたとき、日本の教会でこんなことを話されたの。」とお母さんが言って、アブドル・バハと子どもたちの写真が載っている本を読み始めました。「『汝らは愛の光を人類に向かって放射する星のようにならなければならない。願わくは汝らが国民の間における愛の源とならんことを!そうしてこそ東洋が常に光明のあけぼのの場所であり、愛と和解の源であるということを世界は目のあたりに見るであろう。全世界を和睦させよ。あらゆる人々を愛し、あらゆる人々に奉仕せよ。すべての者は神の僕である。神はすべてを創造し給うた。彼はすべてを養い給う。彼はあらゆる人々に親切である。それ故、我々はあらゆる人々に親切でなければならない。』」
リアズが、「あらゆる人がアブドル・バハの言うことを聞いて、そのようにすれば、世の中は喧嘩も戦争もなくて、本当に素晴らしい所になるはずだ!」と言いました。
アスマが続けて、「そうだよ!残念だけど人々はアブドル・バハのようにしてない!」
シャラが、「人々は、アブドル・バハが何を言っているのか知らないから、しがたがないじゃない。私たちが教えなくちゃ!」と言いました。子どもたちがうなずいて賛成しました。
それから、お父さんが、「1912年にアブドル・バハは日本の大使に会って、『未だ人間に発見されていない驚くべき力が存在している。精神文明が人間の心を支配するまでは、この力が科学によって発見されないよう敬愛する神に嘆願しましょう。低俗な性格を持つ人間の手に入れば、この力は全地球を破壊することができるだろう』と警告されたんだ。これは原子力のことを言われたん
だと思う。」と悲しそうに言いました。
アスマが、「人々はその忠告を聞かなくて、二つの大戦が起きてしまったんだよね、お父さん。」と言いました。
「わあ、戦争、すごく、すごく怖い!」とシャラも悲しそうに言うと、みんなが賛成しました。
お母さんが、「だから私たちがバハオラメッのセージを人々に伝える努力をしなければいけないのよ。そうすると世界は本当に
平和と和合になるのよ。」と説明しました。
シャラが、「アブドル・バハがあらゆる人に親切で愛するには、どうしたらいいかを教えられているのをみんなに伝えるのよね。」と加えました。
リアズが、「そうしたら、戦争はなくなる!」と叫んで、子どもたちも賛成してうなずきました。
お母さんは子どもたちを励ますように、「だから、バハオラが愛と親切にするのを忘れないように、あらゆる所に礼拝堂を作りなさいと言われ
ているの。」
リアズが、「わかった、わかった、おれは知っている、その礼拝堂には、誰でも、どの宗教の人でも入れるように九つの入り口があるんだろ!」と言いました。
シャラが、「そして、丸天井で屋根も丸くなっているのよね。」と続いて言いました。
お父さんが、「礼拝堂はマシュレゴウル・アズカルと呼ばれているんだよ。その意味は夜明けに神のことを述べる場所なんだ。そして礼拝堂の周りには学校、病院、孤児院、老人ホームなどもできるようになっているんだ!」と説明して、「実際、あまり遠くない将来、東京に礼拝堂ができるはずだ!そのための土地も準備されているんだ。そして遠い未来には、日本のどの町にもこの礼拝堂が建てられるだろう。」と続けて言いました。
モナが、「私はね、アブドル・バハがアメリカのシカゴに礼拝堂を建てるための最初の土台となる石を置かれたのを読んだことがあるわ。」と言いました。
シャラが、「あーあ、アブドル・バハは日本の礼拝堂を建てるのにここに来られないのね。」と悲しそうに言いました。
お母さんが、「アブドル・バハの心はこちらに来られているはずよ。」と励まして言いました。
モナが、「日本の礼拝堂はどのようになるのかな?」と言いました。
アスマが、「それは、もちろん日本風に決まっているだろ。」と言って、「世界のどの国にも、そこの文化にあった礼拝堂にすると思うから、おれたちの礼拝堂が日本風になるのはあたりまえだろ。」と続きました。
「そうだな、アスマ」とお父さんが賛成して、「お前たちの誰かが未来の日本の礼拝堂を設計するといいな。」と言うと、
モナが、「沖縄では沖縄風と言うことになるわね。」と続きました。
幼いアニサが突然、「沖縄のは、私がつくる!」と言ったので、みんな驚いてアニサの方を見ました。
「だって、沖縄は私のふるさとなんだから!」とアニサが強く言いました。
「そうかもしれない。」とお母さんがほほ笑んで言うと、みんなもほほ笑んでうなずきました。
モナが、「アブドル・バハが本当にここにいるようね。」とうれしそうに言いました。みんなは手を叩きました。お母さんがお菓子を持って来てみんなにくばりながら、「これは、アブドル・バハからのお菓子よ!」と言いました。
「やったー!」アニサが跳びながら嬉しそうに叫んで、「やっぱり、私たちは準備できていたんだ!アブドル・バハがここにいるんだもん!」
みんな嬉しそうにお菓子を食べながらアブドル・バハが本当にここに一緒におられるように感じました。
アブドル・バハと日本については、ひるの星233号にあります。http://hirunohoshijp.weebly.com/233-32854320046528812450125021248912523124961249512392260852641265289122891249412450123983166533337.html
*引用文はすべて「燎原の火–日本」から。
世界の礼拝堂
クイズ
- 物語の初めで子どもたちは誰の写真を見ていましたか。
___________________________________________________________________________ - アブドル・バハは日本に行かれたことがありますか。
___________________________________________________________________________ - アブドル・バハはアメリカに行かれたことがありますか。
___________________________________________________________________________ - なぜアブドル・バハはアメリカの信者に日本へ行って欲しかったのですか。
___________________________________________________________________________ - アブドル・バハは一人のバハイに東京で何を声のかぎり叫ぶように頼んだのですか。
___________________________________________________________________________ - アブドル・バハはカリフォルニアの日本の教会で、彼らに何をするべきだと話されましたか。
___________________________________________________________________________ - アブドル・バハは何を日本の大使に警告されたのですか。
___________________________________________________________________________ - 子供たちはなぜ悲しくなったのですか。
___________________________________________________________________________ - 未来の日本のあらゆる町に何が建てられるでしょうか。
___________________________________________________________________________ - 礼拝堂にはいくつの入り口がありますか。その屋根はどんな形ですか。
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全部答えましたか。答えは保護者のページにあります。
ぬり絵
紙粘土の礼拝堂
(あなたの住む場所の様式に作ってみましょう)
用意するもの:*紙粘土、クッキング・シート、ものさし
*下にある九角形の図 *あなたの想像力
作り方: *下の九角形の図の上にクッキング・シートをのせる。
*クッキング・シートの上に紙粘土を置く。
*ものさしで九つの角を整えて粘土の礼拝堂をつくる。
*礼拝堂に九つの入り口をつくり、丸いドームの屋根をつくる。
*自分の好きなように窓や飾りをつくる。
*礼拝堂の周りに美しい庭や池などをつくる。
写真にとって家族や友だちに見てもらいましょう!
保護者のページ
アブドル・バハから望月ゆり子への手紙より 1920年12月9日
日本は土壌に手をつけられていない農園のようである。このような土壌には偉大な能力がある。一つの種は百倍の種を産み出す。神にほまれあれ、今や、汝はそのような農園を見い出した。汝はその土地を開拓しなければならない。汝はそこからとげや雑草を取り除かねばならない。汝はそこに神の愛の種をまき、神の知識の雨で灌漑しなければならない。安心せよ、天よりの祝福が与えられるであろう!
我が望みは、汝がその農園で聖なる農夫になることである。日本の啓発された人々は時代遅れで、腐敗した盲目的模倣に飽き、いや気がさしている。彼らは、これらの盲目的模倣は真実性のない、全くの迷信だと確信している。それ故に、彼らは神の呼び掛けを聞く能力があるのである。その土地には手がつけられていない。聖なる農夫達がどういう仕事をするか我々は後で分かるであろう。
現在汝は雑誌を発刊し始めた。わが望みはこの雑誌が東洋の星のように輝くことである。その雑誌に次のように記せ。
東洋の地平線が測り知れない程の暗黒でおおわれ、暗黒の雲が優勢を保ち、あらゆる天の星が眼から隠されていた時、聖なるバハオラが、太陽のように東洋の地平線より輝き出し、輝かしい光輝をもって東洋を照らした。
クイズの答え: 1)アブドル・バハと世界の子どもたち 2)ありません 3)あります 4)日本はとても重要なところだから、神の愛を通して日本の人々に生命力を与えるため 5)『おお汝ら、人々よ、真実の太陽が現れ、その輝かしい光があらゆる地域を満たした;それは、人間世界の統合の旗を掲げ、全人類を輝ける心理に召喚した。』 6)『汝らは愛の光を人類に向かって放射する星のようにならなければならない。』7)『未だ人間に発見されていない驚くべき力が存在している。精神文明が人間の心を支配するまでは、この力が科学によって発見されないよう敬愛する神に嘆願しましょう。低俗な性格を持つ人間の手に入れば、この力は全地球を破壊することができるだろう』8)アブドル・バハの忠告にもかかわらず、恐ろしい戦争が起きたから 9)礼拝堂 10)九つの入り口、屋根は丸いドーム