「謙虚の木の果実に……なりなさい」
バハオラ
本土は秋でも、まだまだ夏の陽射しが残る、沖縄の土曜日の昼下がりのことでした。5人のきょうだいで、モナ、シャラ、アニサ3人の女の子が、台所でクッキーを焼いているお母さんのお手伝いをしていました。長男のアスマが、台所に入ってきました。
「お母さん!リアズがおれの漫画の本の『ドラゴン・ボールZ』を外のベランダに置きっぱなしにしていたんだ!雨でぬれるか、汚れるかもしれないのに!おれの本を尊敬する気持ちがまったくないんだ!!!」
リアズはアスマのすぐ後ろから台所に入ってきました。台所で話をするのに興味があったというより、たぶんお母さんが焼くクッキーのいい匂いがしたからでしょう。リアズが、ニヤッとアスマに笑って見せると、とつぜん姿勢を正して、
「わたくしリアズは、ドラゴン・ボールZ様を最も尊敬しているのであります!」と叫んで、まるで漫画の本を将軍のように敬礼しました。
「その態度は尊敬しているようには見えないぞ!お母さん、何とか言ってよ!」アスマが怒った声で強く言いました。
「尊敬とは?!広く深い意味があって、とても大切な言葉ね!その話をしましょうか。」とお母さんが答えて、子どもたちに食卓を囲んで座るようにと言いました。その間に、台所から焼きたてのクッキーをみんなに持ってきて、子どもたちを見まわしながら続けました、
「アスマ、漫画の本に尊敬という言葉を使ったけど、あれはどういう意味だったの?」
「リアズはおれの漫画の本を大事にしなくちゃ!自分のものじゃないんだから。」
アスマがまだ怒ったように言いました。このアスマの答えに対してモナが意見を出しました。
「それじゃ、アスマ、自分のものだったら、尊敬しなくていいと言うの?その漫画の本はお父さんとお母さんに買ってもらったんでしょ。だったら、アスマもその本を尊敬するべきじゃないの?」
「もちろん!」とアスマが答えました。
「そうね、」とお母さんが言って、「それを考えてみると、何でも私たちのものはもらったものなのね。親から、店から、店は生産者から、生産者はたぶん自然からもらったはず。その自然は神様が創られたんだからね。元をたどれば、すべて神様からいただいたものでしょ。だから何にでも尊敬するべきなのね!」
子どもたちは驚いて顔を見合わせながら、周りにあるものを見てどこから来たか考えました。シャラが言いました、「そう言えば、このテーブルはお父さんが店から買ってきた、その店は工場から仕入れた、工場は森の木から作った、その木は神様が創られた!」
アスマが賛成して、「そうだよな、考えてみると何でも神様が創られたんだ!」
お母さんが続けました、「だから、尊敬すると、すべてのもの、すべての生きもの、特にすべての人にやさしく、親切にするようになるのね。それと、神様からの贈りものだから神様に感謝するようになるわね。」
「アニサ、感謝はありがたく思うことよ!」とモナが説明しました。「だから、ありがたく思うと、尊敬するようになるのよ。」
みんな、モナに賛成してうなずきました。
「そうすると、神様が創られた、この地球をもっと大事にしなくちゃ!ごみを散らかさない、宇宙を汚さないで、私たち人間はこの宇宙を美しい世界にするべきです。」とお母さんがつけ加えました。
アニサが賛成して言いました、「動物や虫も可愛がらなくちゃ!ねえー、お母さん!そうでしょう?!!動物も虫も、ありがと神様!!」幼いアニサは生きものすべてが大好きでした。
「そうなのよ、 アニサ!何度も言うけど、生き物はみんな神様から命を与えられ、その命は、やがて神様にすべて戻されるの。」
「生き物がおれたちに攻撃してこない限り、そっとしておくんだな。あとは神様の手に、お任せすればいいんだ。」リアズがなるほどというように答えました。みんなもリアズに賛成してうなずきました。
「それから、尊敬するには、もうひとつ大事なことがあるの。・・・人に対して尊敬するのはどうすればいいか。」とお母さんが言って、続けました、「誰か、いいアイデアがある?」
「私たちの学校の先生を尊敬するのはどうかしら。」とモナが言って、「先生の言われることをよく聞いて、それに従って、礼儀正しくするの。」アスマがつけ加えて、
「お巡りさんとか、お医者さん、おれたちをお世話する責任がある人は誰でも。」お母さんにニヤッと笑って見せて、「自分の親もだろ。」お母さんが微笑んでうなずきました。そして少し考えて、「尊敬するのは、それだけでいいかしら?自分と同い年かそれより若い人も尊敬すべきなのかしら?」
「そうよ。」とシャラが答えて、「でも、どちらも同じというわけにはいかないわ。だって、幼い子のわがままに従うわけにはいかないもん。」
「そうだな。漫画の本に従うわけにはいかんな。」リアズが笑いながら、
「はい!わかりました!ドラゴン・ボールZ様!わたくしリアズは、あなたの命令に従います!」またまた漫画の本に敬礼して見せて、みんなを笑わせました。
シャラが続けて、「幼い子どもにも、礼儀正しく話しかけて尊敬するべきね。見下すように大声を上げないこと。そうしたくなっても。」アニサの方を見ながら言いました。
「親も自分の子どもを尊敬しているところを見せなくては。」とリアズがお母さんに向かって、ニヤッと笑って見せると、
「その通り!」とお母さんが賛成して、ほほ笑みながら、
「リアズがどんなに親を困らせていても、尊敬する努力をしているつもりよ。」
リアズのことを知っている子どもたちが、笑ってしまいました。
「どんなに幼い子どもでも大人と同じように魂があって、不親切にされると、傷つくんだ。」とアスマが言って、「スース博士の本に、『どんなに幼い子どもでも、人間は人間』と言っているだろ!!」
「とても賢い格言ね!」お母さんが賛成して 、「幼い子どもだって神様の属性を映す魂があるのよ。尊敬は謙虚にも関係があるのよ。謙虚は自分以外の人にもっと価値があるのを知ることだから。」
「でも、お母さん!自分の価値も大切じゃないの?!」とモナが言いました。
「もちろん、そうなのよ。」とお母さんが答えて、「私たちの魂には神の光が輝いている。それが私たちの価値なのよ。でも、自分の方に神の光がどれくらい輝いているのか、神様以外誰にもわからないのよ。」
「だから、バハイ・サマースクールでは、そうだった!国の指導者なのによ!」とモナが思い出して、「王様とか大統領なども国民の僕となるし、その道に詳しい専門家である人もみんな自分を他の人より下になるのよね!」
「そうだ!思い出したぞ!同じようなことを!」とリアズが叫んで、「アブドル・バハのお話に、山の頂上に降った雨も川の水となって海に流れる。一番低いところにすべての水が集まる。その意味は頭が低い人に神のすべての恵みが集まる。」
「すごい! リアズ!」お母さんが感心して、「リアズには、いつも驚かされるわね!」
モナが笑いながら、「意地悪をして怒らせたかと思うと笑わせて、突然まじめになって驚かすのよね。」
「やっぱり、リアズはサーカスのピエロのようだな。」とアスマが笑って言いました。みんなも笑ってしまいました。
「誰かを尊敬している話をほかに知っているかしら?」とお母さんが聞きました。みんなで少し考えました。アニサがこたえて、「虫をスプレーで殺すより、捕まえて外に出すのは?」
アニサは何も分からないと思っていた、みんなはびっくりしました。
「モナがホームレスに健康的な飲み物をあげたとき、誰からもらったか見tつからないようにしたのは?」とリアズがまじめな顔をして言いました。みんなモナを見て、うなずきました。
アスマが続いて、「それと、お母さんがアニサに蛇をペットにするのは出来ないと、何度も、何度も声を殺してアニサに説明したのは?」みんな笑ってしまいました。。。アニサ以外。
お母さんが、「これからは、みんなで自分のまわりをよく観察して尊敬を見つけましょう。神様が創られた、この素晴らしい世界を尊敬するようにしましょう。ほかの人たちにも、尊敬することを思い出させてあげるようにしましょう。」
リアズが「そうしよう!みんな!クッキー食べたら、外であそぼう!」と叫んで外にとび出しました。「やったー!」と叫んで、みんな外にとび出していきました。
クイズ
- アスマは誰に怒っていましたか?
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- アスマが怒ったのはなぜですか?
____________________________________________________________________________ - 私たちの周りにあるすべての物は、元々どこからきたのですか?
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- 物をどのように尊敬するのですか?
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- 動物や虫など、生き物にはどのように尊敬するのですか?
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- 先生、親、お巡りさんなど、お世話してくれる大人をどのように尊敬しますか?
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- 自分と同い年か年下の子どもをどのようにして尊敬しますか?
_____________________________________________________________________________ - 尊敬することが、どうして感謝することになるのですか?
_____________________________________________________________________________ - 尊敬することが、謙虚であることになるのはどうしてですか?
____________________________________________________________________________ - あなたが尊敬するのは誰ですか?それはなぜですか?
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クイズの回答はページの下にあります
用意するもの
- 折り紙
- はさみ
- ストロー
- ペンまたはマジックマーカー
作り方 :
- 折り紙を半分に折る。それを、また半分に折って、折り目に沿って右の写真のように4等分に切り取る
- そのひとつを半分に折って、開く
- 開いた半分の片方だけ、さらに半分に折る
- もう一方の半分も、その半分に
- 半分の半分同士を重ねて小さな四角にする
- 四角のかどを切り取る
- 四角に折っていたのを開いて、あおむしの顔をかく
- あおむしの背中にストローで息を吹きかける
あおむしが、はって行く!!
保護者のページ”
バハオラの言葉から尊敬と謙虚という言葉が出てくる、引用文のいくつかを次に紹介します。これらの言葉の広く深い意味をお子様といっしょにご家族で話し合ってみたらいかがでしょうか。
富を所有し、権威と権力を与えられているものは、宗(神をまつった小さな社やしろ)教に対して最も深い尊敬を示さなければならない。実際、宗教は世界の人々の保護と福祉のための輝かしい光であり、堅固な砦である。というのは神への畏れは、人々をして善にすがらせ、邪悪を避けさせるからである。宗教のランプが曇れば、混沌と混乱が頻発し、公正と正義、平穏と平和の光は輝きをとめるであろう。真の理解力をそなえた者は(神の存在を知り、神を崇拝し、その教えに従う者は)すべて、このことを目撃するであろう。
アクダスの書の後に啓示されたバハオラの書簡
彼の道で(バハオラの教えで)行われるような行いを味わい、彼の(教えの)おかげで見せられるような謙虚と従順のやさしさにあずかる願いが叶うように、唯一真実の神に懇願せよ。汝ら自身を忘れ、眼を隣人に向けよ。汝の活力を人類の教育を促進するあらゆるものに向けよ。何事も神から隠されてはいないし、また決して隠すことは出来もしない。もし彼の道に従えば、測り知れない不滅の祝福が汝らに注ぎかけられるであろう。・・・・・・・・・・・・このことを汝らの心の中で熟考し、その教訓を守る者でありなさい。 バハオラ
道を求めるものは、決して自己を他より高位に置こうとしてはならず、自分の心の紙片から傲慢や虚栄のすべての痕跡を洗い流し、忍耐と甘受を固守し、沈黙を守り、無益なむだ話を慎まなければならない。 バハオラ
礼儀、敬意、尊厳、他人の地位や業績を尊重することは共同体の調和と健全に資する美徳である。一方、高慢と我欲は最も致命的な罪悪に数えられます。 万国正議院
クイズの答
1)リアズ 2)リアズがアスマの漫画本をほったらかしにしていた 3)神様からの贈り物 4)神様がつくられたものだから大事にする5)攻撃してこなければ、害を与えない6)礼儀正しくして、従う 7)決して見下すのではなく,やさしくする 8)尊敬するのは、自分のことを忘れてほかの人を助けるから 9)どちらも自分以外の人にもっと価値があるのを知っているから 10)すべての人、どの人にも鏡のように神様の反射が見えるから